子供に無理やり勉強やスポーツをやらせても、必ずしも成果が出るわけではなく、逆効果になることも少なくありません。この記事では、子供が嫌々取り組むことで生じる弊害や、親としてどう向き合うべきかを考察します。
私自身、小さい頃は習い事をいくつも強制され、そのたびに苦労してきましたが、大人になるとその記憶は薄れてしまっていました。しかし、最近の知人との会話で、『うちの子には勉強を無理強いしない』『子供が塾に行きたがっているから手続きをしてくる』といった話を聞き、子供の頃の自分の経験を思い出しました。この記事では、大人目線と子供目線の両方から、このテーマについて考えてみたいと思います。
- この記事では、子供を持つ親に向けた記事です。
- この記事では、「習い事」「勉強」について記載しています。
- 「勉強する意味」を知りたい学生の方にも、読んで頂いても良いかと思います。
強制的に習い事をさせ続けても成果は薄い
[体験談]習い事は、無理矢理やらせても、上達しないことがある
わたくしが、幼稚園児~小学生の頃の話ですが、習い事をたくさんやっていました。もちろん、自分の意思とは関係なく、親の決断によりです。
習っていたのは、
- スイミング
- 書道
- 珠算
- 野球
- くもん(国語、算数)
他にもあったかもしれませんが、忘れました。
小さい頃は、テレビをよく見ており、特にクイズ番組とかは、勉強になるので、興味もありよく見ていました。興味のあるジャンルの知識を身に付けるのは、大好きでしたが、学校の勉強は好きになれませんでした。今思えば、興味の無いことを強制的に、頭の中に押し付けられたから好きになれなかったのかと、思っています。
わたくしが、子供の頃、一番大変だった習い事ナンバー1は、「野球」でした。とにかく球技が嫌いなのにも関わらず、なぜか野球を習っていました。野球の練習のさいに、一緒に練習している子に話を聞くと、みんな口を揃えて「自分がやりたくて親にお願いして始めたんだ!」と。自分は野球のルールすら知らなくて、しかも強制的にやらされているなんて言えなかったのを今でも覚えています。
とくに辛かったのは、日曜日の時間が潰れることです。当時の小学校は、日曜日しか休みが無く、唯一こころが休まる日でした。その日曜日を朝の6時に起きて、練習に行ったり、午後の練習がある日は、友だちと遊ぶのを我慢し練習に行っていました。
ただただ時間が過ぎるのを待つだけで、苦痛な時間でした。なんで自分だけがこんな目にあうのか?と嘆いていました。もちろんやる気がないから、上達なんてせず、指導する立場の人間を困らせていただけでした。結果、キャッチボールすら満足にできず、やめました。
無理矢理やらされていた野球は、上達しませんでしたが、自分が志願して入部した体操部(鉄棒)は、ミルミル上達し、大会にも出ました。結局、やりたいことをやるのが、上達するのが早い!のです。
人には、得手不得手があるのを親は理解するべき
これは、子供目線の意見ですが、『苦手なものを無理矢理やらせるのは、苦痛以外何ものでもない』ということを少しわかってほしいものです。
さきほども言いましたが、わたくしは数多くの習い事をやっていました。その中でも、珠算だけは、面白さを感じていました。もともと算数は好きだったので、珠算の上達は早かったです。1年ほどしか習っていませんでしたが、3級の資格を取得するまで上達しました。
人それぞれ、能力は同じではなく、勉強でもスポーツでも、得意なこと、苦手なことはあります。得意なことは、他のことと比較すると、飲み込みが早いです。
わたくしの場合で言うと、塾で”国語”を勉強していましたが、偏差値は40前後でした。逆に、数学や理科は、得意だったので、授業で学ぶだけですが、偏差値は60を超えていました。得手不得手というだけで、これほど差が出るのです(人によりますが)。
絵を描くのは得意だが、字を書くのは苦手(下手くそ)という人も良く見かけます。
とりあえずやってみて、続けるか辞めるかすぐに決める
何かを学ぶということは、良いことですが、続けるのか見切りつけて辞めるのかを早期に決めるのは、重要なことであると思います。これは大人になった今だから言える”大人目線”での意見です。
理想は、
- [STEP1]やってみたい・はじめてみたい
- [STEP2]やってみる・経験してみる
- [STEP3]続ける・辞めるか、判断する
です。
”やってみる”の行動のあとに、続けるのか、辞めるのかを早期に決めるべきです。嫌なこと、苦手なことをいつまでもやっていれば、トラウマになる恐れもあります。”辞めたいが、続ける”が一番駄目なパターンです。習い事なんて、義務教育の範囲外なので、好きなことを習うべきです。嫌なことをいつまでもやっているのは、子供だけに限らず、大人だって嫌なはずです。
やらせたいなら、見本を見せる、興味を沸かせる
学校から帰ってきて、家で自主学習するとしても、まわりの家族がテレビなどを見ていたら、「なぜ自分だけ?」と思いますよね。
親が資格の勉強などをしている姿を見せれば、子供も刺激されて、勉強する気になります。まずは、親がお手本を見せるべきだと思います。「自分はテレビを見て過ごすけど、子供のお前は寝る前まで勉強しなさい」なんて言っても…、なんで自分だけ??という疑問を抱くだけです。
勉強するのは、それなりの理由はありますが、頭ごなしに強要するなら、子供に興味を沸かせるように努力してみてください。子供によって、興味の沸かせ方は違いますが、説得力のある説明を受ければ、子供だってやる気がでます。
「勉強する意味」を理解する
勉強する意味は何でしょうか?何が目的で、将来どのような効果があるのかを念頭において、勉強することで結果は大きく異なります。
勉強で得た成果について
「勉強で得た知識」で、視野も広がる
知識が広がると、問題に対する解決策や選択肢を見つけるための幅広い視点が得られます。
例えば、飛行機について知識がない人が、東京から沖縄までの移動手段を考えると、地図を見て「沖縄は南に位置している。それでは、電車で九州まで行って、海を渡るので船で、沖縄に行く方法しか思い浮かばない」かもしれません。
しかし、飛行機を知っている人は、飛行機という選択肢があることを知っています。どの手段が低価格であり、かつ短時間で行けるのか、を判断する余地が生まれます。例えば、羽田空港から沖縄の空港への飛行機移動において、価格や所要時間を目安にすることができます。知識があることで、より的確な判断や計画が可能になり、結果的に効率的で適切な選択ができるのです。
「勉強で得た知識」で、コミュニケーションの範囲が広くなる
仕事で中国の方と一緒になった際、中国に関して”人口が多い国だ”という基本的な知識しか持っていない場合、最低限のコミュニケーションしか取れないかもしれません。
しかし、中国人がどのような特徴を持ち、現在の中国で何が注目されているのかを知ることは、柔軟なコミュニケーションを築く上で重要です。異なる文化や国の歴史、人種についての知識を身につけることで、より深い交流が可能となります。これにより、相手の背景や価値観を理解し、学んだ知識を実践に活かすことができます。
著者は「地理」「世界史」に興味があり、この分野の勉強を頑張っていたこともあり、40歳を前に海外へ行くことが、実現できました。国際交流は面白いです!
学校の勉強は、役に立たない?
社会に出て直接活かせるのは、少ないのは事実
学校の授業では、社会に出てから直接活かせる内容が少ないことがよくあります。これは学ぶことが基本的な目的であるからです。
理想的には、将来的に役立つ税金や資産運用などの実用的なスキルを学べると良いのですが、時代の変化に伴い、学校で得た知識が実践的でなくなることがあります。そのため、学びの基本が重視され、将来にわたって有益な基本的な事柄に焦点を当てることになります。
家庭科や技術科の授業は実用的な知識が得られることが多いですが、一部の専門的な分野は実践的でないことがあります。ジャンルごとに高校や大学で学ぶ内容が深まり、中学までの共通的な教育から個別の専門分野に向かっていきます。
学ぶことは、ただ「勉強しなさい」と言われるだけではなく、その結果として人生の選択肢が大きく広がることを理解する必要があります。学校は学ぶためだけでなく、学ぶスキルを向上させる場でもあります。学ぶ内容は何でもよいとは言えませんが、地元の歴史よりも世界の歴史を学ぶ方が、より普遍的で有益な知識が得られます。
数学の難しい方程式も、実生活で直接役に立たないかもしれませんが、その方程式を学ぶことで、過去の学者たちと知識を共有し、学問の発展に貢献できるのです。
見方を変えれば、役に立つこともある
399 × 401は、すぐに暗算できる人は少ないかもしれません。
しかし、2次方程式を知っていれば簡単に解けます。
例えば、X2乗 – 1は、(X + 1)(X – 1)と等しいです。
つまり、(400 + 1)(400 – 1)が成り立ちます。
したがって、399 × 401=400の2乗(16万)から1を引くと、答えは159999になります。
物流の仕事など、特定の職種では日常の業務で掛け算による暗算を頻繁に行うことがあります。これは数学の知識が実務に直結し、効率的で正確な業務遂行に寄与する要素となります。
勉強をしないで後悔することが多い
学校の勉強は、社会に出て役に立つのか?と言われると、正直なところ「役に立つ!」とは言えません。しかし、社会人になると、もっと勉強しておけば良かったと後悔する方が多いです。
著者もその一人で、小学校・中学校・高校と学校から帰宅してあれだけ時間が余っていたのに、なんで勉強しなかったのだろうと後悔しています。学校の勉強が面白くなくても、自分の興味を持った分野の勉強でもやっておけばよかったと後悔しています。40代になり本当に後悔しています。
なぜ社会人になると、「勉強しなかったこと」を後悔するのでしょうか?理由は勉強してきたかどうかで、職業や収入が決まるからです。学生のうちは勉強すれば進路の幅が決まります。社会人では勉強していれば職業の選択の幅が広がります。
例えば、あなたが経営者だとして、人を雇う立場になったとします。
- 勉強をあまりしてこなかった人
- 勉強を頑張って実績がある人
どちらの方を雇いますか?もちろん勉強をしてきて実績がある方でしょう。
勉強を頑張ってきた人は、社会に出てから評価されやすいのです。
社会に出てから、勉強の成果が役に立つ
企業が求める「勉強ができる人」とは?
企業は常に変化し、成長し続ける必要があります。時代の変化に適応できなければ、競争力を維持できません。このため、企業には物事を考え、経営戦略を策定できる人材が不可欠です。単純な作業だけではなく、複雑な課題に対処できる能力が求められます。単純な作業にはアルバイトでも対応できますが、戦略的な思考が求められる仕事には「考えることができる人」が必要です。
勉強することは、知識だけでなく、発想力、対応力、思考力、忍耐力、応用力など、様々な能力を身に付ける手段です。将来的に企業とともに成長できる人材は、常に努力し、新しい知識やスキルを身につけられるかどうかが鍵となります。
結局、企業は「勉強ができる=考えることができる人」を求めているのです。
社会に出ると、「勉強に慣れている人」ほど結果が出やすい
学生時代の勉強とは異なり、社会での学びは直接仕事に影響します。従業員が勉強することは、企業の業績や個人の収入にも大きな影響を与えます。
社会に出ると、仕事の一環として勉強することが増えます。例えば資格の勉強が必要になった場合、勉強に慣れていると「よし、やるぞ」と前向きな気持ちで独学で知識を身に付けることができます。一方で、勉強に慣れていないと知識が身につきにくく、社会に出てからは仕事中に勉強することが難しく、プライベートの貴重な時間を使って学ぶ必要があります。つまり、効率的に学ばないと追いつくことが難しいのです。
学生時代の勉強は練習のようなもので、社会人になるとようやく本番が始まります。社会に出て勉強に慣れていないと、急速に進化する社会から取り残される可能性があります。
すべてのケースには当てはまりませんが、勉強の能力は就ける職種を広げる上で重要です。社会に出ると、「勉強できる」という能力が非常に強力な武器になります。また、課題に直面し、独自に考えて対策を打つことができる人材が特に重宝されます。
「勉強ができる」というスキル
仕事は学ぶべきことが数多く存在します。一部の職業は体力を要するものもありますが、多くの仕事では多岐にわたるスキルや知識を習得する必要があります。したがって、仕事において「勉強できる」というスキルは、実際に会社に入ってから業務を理解し、積極的に取り組んでくれる期待を生む重要な要素です。
職場で課題に直面した場合も、勉強ができる人は他人の助言に頼らず、独自の視点で問題を考え、自ら行動することができるでしょう。
「勉強ができる」というスキルがあるから、以下のようなことが実現できるのではないかと思います。
- 企業に属し昇格することができる
- 自身で起業することができる
- 自分のやりたい職業に就ける
全ての人が、同じような結果とは限りませんが、比率的には勉強で結果を残せた人の大半は、社会に出て結果を出せています。
さいごに
学ぶことは無限の可能性を秘めた訓練です。何を学ぶか、どの学習方法が自分に適しているか、そしてどのように知識を暗記するかを見極めることは、自己成長の重要な一環です。自分の能力の限界を知り、成長の余地を見出すことも重要です。成長できる可能性が広がるのか、限界にぶつかってしまうのかを理解することで、より適切な学び方やスキルの向上に繋げられます。
また、身につけた知識はブログなどで発信することで、他の人にも役立つことがあります。自分の知識が他の人の学びや課題の解決に寄与できる場面も多いのです。知識を共有し、学び合いの文化を広めることで、個人だけでなく社会全体がより発展していくでしょう。
唯一、また習ってみたい習い事があります。高校のときに習っていた”社交ダンス”です。大人の今になっても習ってみたいなんて思うことがあるのですね。習い事を強制的にやらされてきましたが、いろいろな経験をさせてくれた両親には、感謝したいです。
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